ワークフローの効率化と作品の色再現性を確保するのがカラーマネージメント!!
デジタル写真を扱う上で、避けて通れないのがカラーマネージメントです。
私の撮影後のワークフローは、撮影したデジタル1眼カメラにモニターをHDMI接続してファイルをセレクトします。
K-3+DA★16-50 2015/1 東海フラワーショウ
次にセレクトしたファイルをパソコンにコピーして、カメラメーカーの色が正確に再現される純正RAW現像ソフトで現像します。
現像ソフトで対応できない微調整やレタッチは、劣化を最小限にするためにTIFF形式で保存してから、フォトレタッチソフトの業界標準といえるAdobe Photoshopで画像処理します。
鑑賞は、大画面4KTVでスライドショーにしています。プリントは、額装やコンテスト応募など必要に応じてAdobe Photoshopで印刷します。
今回は、私のカラーマネージメント環境について紹介します。
目次
カラーマネージメントとは
カメラ、モニター、プリンターなどの異なるデバイス間の色を管理することです。皆さんは、こんな経験はないでしょうか?
撮影した画像の色をモニターで確認しながら調整したのに、プリントすると違う色になってしまう。色合わせと印刷を何回も繰り返すので、時間がかかって用紙やインクがあっという間になくなってしまう。
なぜ、こんなことになってしまうのか。デバイスによって色の作り方や表現できる範囲が異なっており、さらに同じデバイスでも特性に差があるからです。
印刷をしないにしても、真っ赤な夕焼けをブログにアップしたつもりが、見ていただいている方には、オレンジや紫色に見えていたとしたら、もはや作品としての意味がなくなります。
そこで、異なるデバイス間の色を管理して基準となる色に変換することで、どのデバイスでも色の再現性を確保するのがカラーマネージメントです。
参考にした本
私が参考にした本は、谷口泉さんの「カメラマンのためのカラーマネージメント術」です。
K-3+DA★16-50 2020/9 「カメラマンのためのカラーマネージメント術」
紹介している機材はやや古くなっていますが、カメラマンやフォトグラファーが気持ちよく写真を楽しむために必要な内容が整理されています。
ホワイトバランスツール
撮影時は、カメラのモニターの色再現には限界があるため、色は大まかな調整にとどめ、構図とピント、露出をしっかりと追い込みます。
色かぶりしやすい環境下では、フルカラーバランスをセッティングするCBLレンズを使った正確なホワイトバランスの撮影をして、編集するときの色の基準にします。
現場のイメージを再現するには、色の基準をベースに仕上げます。
モニター
セレクトから現像までは、BenQ カラーマネージメントモニター SW240です。ハードウェアキャリブレーション対応のハイコストパフォーマンスな24.1インチモニターです。
私はノートパソコンで画像処理をしていますが、付属スタンドでは高さが低くてノートパソコンのモニター上にセットできないため、グリーンハウス 4軸モニターアーム GH-AMCA02で高さ調整しています。
K-3+DA★16-50 2020/3 「BenQ カラーマネージメントモニター SW240+グリーンハウス 4軸モニターアーム GH-AMCA02」
鑑賞は、パソコンにMITSUBISHI 4KTVをHDMI接続して、大画面でスライドショーにしています。
照明
照明の平均演色評価数は、基準となる色の再現性を数値で表したもので、100%の再現がRa100です。
モニターは自分で発光しているため、それほど照明の影響を受けませんが、反射で発色するプリントは照明で大きく変化します。
モニターがある部屋は、調光タイプのLEDシーリングライトで昼白色5000Kに調整していますが、平均演色評価数Ra83とプリントの色評価には向いていません。
プリントの色評価については、テーブルフォトで使っている演色評価数96以上の業務用レベルの色再現性が期待できる、LEDビデオライト Neewer NL660 2.4Gで最終確認します。
プリント直後は、Ra90の三菱 ツイン蛍光灯 ナチュラルホワイト色 FPL27AXを付けたスタンドで確認します。
テーブルフォト用のスポット照明として、Ra90の東芝 LED電球 キレイ色 昼白色も使っています。
プリンター
写真用として顔料8色インクのエプソン A3ノビプリンター SC-PX7V2を使っています。顔料8色プリントは、平均演色評価数Ra90以上の照明では、カラーマネージメントされたモニターに近い色再現性があります。
K-3+DA★16-50 2020/3 「エプソン A3ノビプリンター SC-PX7VIIと三菱 ツイン蛍光灯 ナチュラルホワイト色 FPL27AX付 スタンド」
L~2Lサイズの写真用もしくは事務用に染料5色インクのキヤノン A4複合機も使っています。染料インクプリンターは、顔料インクプリンターに比べてインクが詰まりにくくメンテナンスが容易です。
キャリブレーションツール
異なるデバイス間の色を、基準となる色に変換するためのデータファイルがICCプロファイルです。このデバイス固有のICCプロファイルを作成するのが、キャリブレーターです。
モニターキャリブレーターは、本にも紹介されているSpyderシリーズのDatacolor Spyder 5PROです。Spyderシリーズは操作がシンプルで扱いやすいです。
K-3+DA★16-50 2020/5 「Datacolor Spyder 5PRO」
モニターのキャリブレーションは、モニターを直接調整するハードウェアキャリブレーションとICCプロファイルを使うソフトウェアキャリブレーションがあります。
BenQ カラーマネージメントモニター SW240は、ハードウェアキャリブレーション対応でソフトウェアキャリブレーションと合わせて実施することで、高精度のカラーマネージメントが可能です。MITSUBISHI 4KTVは、ソフトウェアキャリブレーションのみです。
プリンターのキャリブレーションは、プリンターキャリブレーターを使って印刷用紙ごとのICCプロファイルを作る必要があります。
プリンターメーカーは、自社のプリンターと純正用紙の組み合わせについては、専用のICCプロファイルを提供しています。私は、プリントの頻度がそれほど多くないため、純正用紙と専用のICCプロファイルを使っています。
まとめ
カラーマネージメントモニターとモニターキャリブレーターのどちらを先に購入すればよいのでしょうか?
安価になってきたカラーマネージメントモニターでしょうか。
出荷時に調整されているものを選べば、しばらくは、モニターキャリブレーターがなくてもOKです。デバイスの経年劣化で色再現性が低下してくるまでに、モニターキャリブレーターの購入を検討すればよいと思います。
モニターキャリブレーターを先に購入しても、再現できる色の範囲が狭いモニターしかなければ、正確な色を表示できない可能性があります。
カラーマネージメントは奥が深いですが、まずは、色評価のベースとなるモニターから初めて、ワークフローの効率化と作品の色再現性を確保しましょう。
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